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HIV(エイズ)の治療技術は今どうなっている?

かつてはHIVに感染してエイズを発症してもなすすべが無く、専門施設でも症状を抑える対症療法を行うだけと言った時代が長く続きました。
そのような経緯から、昔は不治の病として広く認識されていたのは事実です。
過去の不治の病のイメージは強く、未だにHIVに感染すると致命的経過を辿るとの偏見がある方も少なくありません。
しかし治療技術の進歩により、適切に抗ウイルス薬を投与し続けることで、エイズの発症を予防し平均寿命を全うすることも珍しくなくなってきました。

HIV治療にエポックメイキングをもたらしたのが、抗レトロウイルス薬の多剤併用療法の治療技術の確立にあります。
複数の抗ウイルス薬を組み合わせて同時投与することで、免疫システムが相当程度低下している状況でも、エイズ発症を抑制する状況が実現を見たわけです。
仮にエイズを発症しても、長期間生存することも可能になっており、少なくとも先進国ではHIVが、「不治の病」との認識はもはや過去の話になったと言っても過言ではないのです。

一度感染するとHIVを根絶するのは未だに困難ではあるものの、HIVやエイズも治療技術の確立により病状の進行をコントロールできる普通の病気との認識が広まりつつあります。
そこで今後の課題となるのはエイズワクチンの開発にあります。
特に発展途上国では高額な治療薬を負担するのは困難であるため、ワクチンによる予防技術の確立は、喫緊の課題になっているわけです。

ワクチン開発の試みは、エイズウイルスが発見されて以降、研究者の間で数十年にわたり継続しており臨床試験も実施されていますが、成功に至っていません。
どうしてこれほどワクチン開発が難航を極めているのでしょうか。
それはHIV特有の高い遺伝子変異性を有しているため、従来型の若毒性ワクチンでは強毒性のウイルスが突然変異で出現するリスクが高いことに主な理由があります。
サルモデルでの有効性のあるワクチン候補は発見されたものの、ヒトにも同等の効果を持つのか不明な点が多く、ワクチン開発実現には、まだ時間がかかると見られています。

今後の治療技術の進歩は期待できるか?

昔はHIVに感染しても治療のなす術がないので、免疫システムが破壊されていく事も食い止められず、エイズを発症して死を待つだけでした。
今でも不治の病というイメージが強いですが、現在はHIVに感染した際の治療技術は確立されており、適切な治療を受ける事でエイズの発症を抑えたり遅らせたりする事が可能となりました。
抗HIV薬でコントールする事でこれまでと変わらず生活ができ、平均余命も健康な人と変わらなくなってきました。

ただし抗HIV薬はHIVを体内から完全に排除できる訳ではなく、治療を始めたら一生飲み続けていくことになります。
飲み忘れなど中途半端に内服するとウイルスが耐性を獲得する事になり、使える薬の選択肢を狭めてしまいます。
こういった事態を予測して、今後一刻も早く開発が望まれているのがワクチンです。
HIVという病気が発見されてから、これまで多くの研究者が臨床試験を重ねて取り組んできましたが、今でもまだ開発には至っていません。

ワクチンが難しいのは、HIVがとても進化の早いウイルスだからです。
人に感染して複製を重ねる度に遺伝子の配列が変化し、抗体と反応する表面抗原の構造を変えてしまいます。
そのためHIV分離株を基にワクチンを作っても、他の分離株には効果がないという事になります。
またHIVが変化しやすいため、弱毒性ワクチンを作っても強毒化してしまう恐れがあります。
このような特異な性質がワクチン開発を困難なものにしています。

今後もまだ研究は続けられますが、有効なワクチンが開発されるまでにはまだ時間がかかります。
こういった事から今は感染予防を意識する事、そして早期発見と早期治療に努めるしか方法が無いのが現状です。